2003年8月、ファイル共有ソフトウェア Winny を介して感染を広めるウ イルス Antinny が現れました。この初期のウイルス自体は Winny ネッ トワークを利用して自身の感染拡大を行う機能を持つだけのものでした。 その後次々と亜種が発生していく中で Antinny は、「暴露ウイルス」 の機能を有していき、数多くの情報漏えい事故を発生させることになり ました。 これら亜種の中で、大きな注目を集めたのは、2004年3月末に発見され た Antinny.G です。この亜種はデスクトップ画面のスクリーンショッ トやデスクトップ上に置かれたファイル、また Outlook Express のア ドレス帳に登録されたアドレスなどをアーカイブし、Winny ネットワー ク上に暴露します。また、これ以降「コンピュータソフトウェア著作権 協会 (ACCS)」に対して DoS 攻撃を行う機能を持つ亜種が発生しました。 ファイル共有ネットワークに流出したファイルを完全に消去することは 難しいため、情報漏えい事故の未然防止を呼びかける注意喚起が国内の 複数の団体からなされました。しかし、情報漏えい事故は減らず、2006 年3月には安倍官房長官 (当時) が Winny の使用を控えるよう国民に呼 びかけを行うという異例の事態となりました。
参考文書(日本語)
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JPCERT/CC 技術メモ
P2P ファイル共有ソフトウェアによる情報漏えい等の脅威について
http://www.jpcert.or.jp/ed/2006/ed060001.txt
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内閣官房 情報セキュリティセンター
Winnyを介して感染するコンピュータウイルスによる情報流出対策について
http://www.nisc.go.jp/press/inf_msrk.html
Weekly Report 2008-10-01号 に掲載